毛細血管拡張症が子供に現れたら?原因・症状・治療法を解説

クリニックで診察を受ける患者と女性医師

お子さんの顔や体に赤い血管が透けて見えたり、網目状の赤みが広がっていたりすることに気づいたとき、親御さんとしてはとても不安になるものです。毛細血管拡張症は大人だけに起こる症状と思われがちですが、実は子供にも発症することがあります。先天性のものから後天性のものまで原因はさまざまで、なかには全身的な疾患のサインとして現れるケースも存在します。この記事では、毛細血管拡張症が子供に現れる背景や症状の特徴、診断・治療の流れについて、医療的な観点からわかりやすく解説していきます。


目次

  1. 毛細血管拡張症とはどのような状態か
  2. 子供に毛細血管拡張症が現れる主な原因
  3. 子供に見られる毛細血管拡張症の症状と部位
  4. 毛細血管拡張症と関連する小児疾患
  5. 診断の流れと受診すべき診療科
  6. 子供の毛細血管拡張症の治療法
  7. 日常生活での注意点とスキンケア
  8. いつ病院を受診すべきか:見逃せないサイン
  9. まとめ

この記事のポイント

子供の毛細血管拡張症は遺伝性疾患・先天性血管奇形・自己免疫疾患・ステロイド副作用など多様な原因で生じ、繰り返す鼻血や運動失調・筋力低下を伴う場合は早急な受診が必要。治療はレーザーや原因疾患への対応が中心となる。

🎯 毛細血管拡張症とはどのような状態か

毛細血管拡張症(telangiectasia)とは、皮膚の表面近くにある細い血管(毛細血管や細静脈)が恒久的に拡張し、肉眼で見えるほどの赤みや血管模様を皮膚上に形成する状態のことを指します。血管そのものが異常に太く・長くなっているわけではなく、もともと存在する細い血管が持続的に拡張することで、皮膚を通じて赤や紫の細い線として透けて見えるようになります。

一般的に「クモ状血管腫」「毛細血管拡張症」「毛細血管奇形」などと呼ばれるものは、分類上は異なりますが、広い意味で毛細血管の拡張・可視化という共通点を持ちます。大人では長年の紫外線ダメージや加齢、ホルモン変化などが主な原因として挙げられますが、子供の場合はそれとは異なるメカニズムや疾患との関連が背景にあることが少なくありません。

皮膚の色が白い子供ほど毛細血管が透けやすく、実際には正常範囲内であっても血管が目立つことがあります。しかし本来の毛細血管拡張症は、ただ透けているだけではなく、明らかな拡張・蛇行・集積がみられる状態を指します。見た目だけで判断するのが難しいケースもあるため、気になる場合は専門家に診てもらうことが大切です。

Q. 子供の毛細血管拡張症の主な原因は何ですか?

子供の毛細血管拡張症は、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)などの遺伝性疾患、先天性の毛細血管奇形(ポートワイン母斑)、皮膚筋炎やSLEなどの自己免疫疾患、ステロイド外用薬の長期使用による副作用などが主な原因です。大人のような加齢や生活習慣が原因となるケースは少ない点が特徴です。

📋 子供に毛細血管拡張症が現れる主な原因

子供に毛細血管拡張症が現れる原因は多岐にわたります。大人のように生活習慣や加齢が主因となるケースは少なく、遺伝的な要因や先天的な血管の発達異常が関与していることが多いのが特徴です。以下に主な原因を詳しく説明します。

🦠 先天性・遺伝性の要因

遺伝子変異によって血管壁の構造や血管の発達に異常が生じ、毛細血管拡張症が引き起こされることがあります。代表的なものとして後述する「遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)」があり、これは常染色体優性遺伝の形式をとる遺伝性疾患です。家族に同様の症状がある場合は、遺伝的背景を疑う必要があります。

また、毛細血管奇形(port-wine stain:ポートワイン母斑)と呼ばれる先天性の血管異常もこのカテゴリに含まれます。これは出生時から存在する平坦な赤紫色の皮膚変化で、毛細血管が皮膚の真皮層に異常集積している状態です。自然消退することはなく、成長とともに色調や質感が変化することがあります。

👴 免疫・自己免疫疾患との関連

毛細血管拡張症は、いくつかの自己免疫疾患の皮膚症状として現れることがあります。小児に発症する皮膚筋炎では、眼瞼や指の関節部に毛細血管拡張がみられることがあります。また、全身性エリテマトーデス(SLE)の小児例でも、顔面の血管変化として毛細血管拡張が現れることがあります。これらは毛細血管拡張症単独ではなく、他の症状と組み合わさって診断の手がかりになるケースが多いです。

🔸 皮膚疾患・炎症性疾患の後遺症

長期間にわたるアトピー性皮膚炎や、顔面に繰り返す炎症などが毛細血管の慢性的な拡張を引き起こすことがあります。また、ステロイド外用薬を顔や皮膚の薄い部位に長期間使用した場合に、副作用として毛細血管拡張が生じることもあります。これは薬剤性の皮膚萎縮と血管拡張が組み合わさったもので、ステロイド皮膚症とも呼ばれます。

💧 放射線・物理的ダメージ

小児がんの治療として放射線療法を受けた場合、照射部位の皮膚に毛細血管拡張症が後遺症として生じることがあります。放射線によって血管内皮細胞が障害を受け、血管の拡張や異常増生が起こるためです。また、外傷や火傷の後に局所的な毛細血管拡張が見られることもあります。

✨ 特発性(原因不明)の毛細血管拡張症

明らかな原因が特定できない毛細血管拡張症も存在します。顔の特定部位(頬・鼻翼・顎など)に網目状・放射状の赤みとして現れる「本態性毛細血管拡張症」は、小児にも見られることがあります。皮膚が薄く色が白い体質の子供では、特に目立ちやすい傾向があります。

💊 子供に見られる毛細血管拡張症の症状と部位

毛細血管拡張症の見た目はその原因や部位によって異なりますが、子供に現れる場合の典型的な症状と好発部位について説明します。

📌 顔面・頬・鼻

顔面は毛細血管拡張症が現れやすい部位のひとつです。頬の中央や鼻翼(鼻の穴の横)、顎などに細い赤い線や網目状の赤みが現れます。皮膚が薄い小児では、特に透けやすく見えることがあります。寒暖差や興奮時などに赤みが強くなることもあります。

▶️ 眼周囲・眼瞼

皮膚筋炎などの自己免疫疾患では、眼瞼(まぶた)の縁や眼の周囲に毛細血管拡張が現れることがあります。この部位は皮膚がとても薄いため、わずかな血管の拡張でも目立ちやすいのが特徴です。

🔹 鼻粘膜・口腔粘膜

遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)では、鼻粘膜や口唇、舌などの粘膜にも毛細血管拡張が現れます。鼻粘膜の血管が拡張・脆弱化することで、繰り返す鼻血(反復性鼻出血)が特徴的な症状になります。幼児期から思春期にかけて症状が現れ始めるケースがあります。

📍 指・手・爪周囲

皮膚筋炎では、指の関節背面(ゴットロン疹)や爪周囲の毛細血管拡張が特徴的な所見として知られています。爪の根元(爪上皮)を拡大してみると、毛細血管ループの異常(毛細血管鏡所見)が確認できることがあります。これはリウマチ性疾患の診断において重要な手がかりとなります。

💫 体幹・四肢

毛細血管奇形(ポートワイン母斑)は体幹や四肢にも現れることがあります。生まれつきの平坦な赤紫色のあざで、皮膚全体が均一に変色しているように見えます。一側性(体の片側のみ)に現れることが多く、顔面に生じた場合はスタージ・ウェーバー症候群との関連を調べる必要があります。

Q. 毛細血管拡張性運動失調症(AT)の症状は?

毛細血管拡張性運動失調症(AT)は、ATM遺伝子変異による遺伝性疾患で、小脳性の運動失調・免疫不全・毛細血管拡張の3つが主な特徴です。毛細血管拡張は生後2〜8歳頃に白目に最初に現れ、歩行困難や言語障害などの神経症状、感染症の繰り返し、白血病などの悪性腫瘍リスク上昇も伴います。

🏥 毛細血管拡張症と関連する小児疾患

子供の毛細血管拡張症は、単独の皮膚問題である場合もありますが、全身的な疾患の一部として現れることがあります。以下に代表的な関連疾患を解説します。

🦠 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT:Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia)

オスラー・ウェーバー・ランデュ病とも呼ばれるこの疾患は、常染色体優性遺伝の形式をとる遺伝性血管疾患です。ENG遺伝子やACVRL1遺伝子などの変異によって発症します。皮膚・粘膜の毛細血管拡張と、内臓(肺・肝臓・脳・消化管)の動静脈奇形(AVM)を特徴とします。

子供の場合、最初に現れる症状は繰り返す鼻血であることが多く、年齢とともに唇・舌・指先などの皮膚粘膜に点状の毛細血管拡張が出現してきます。肺AVMがある場合は低酸素血症や脳塞栓のリスク、脳AVMは脳出血のリスクがあるため、定期的なスクリーニングが重要です。

👴 毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia Telangiectasia:AT)

ATM遺伝子の変異による常染色体劣性遺伝疾患で、小脳性の運動失調、免疫不全、毛細血管拡張症を3大特徴とします。毛細血管拡張は通常、生後2〜8歳頃に眼球結膜(白目の部分)に最初に現れ、次いで耳介・鼻の付け根・頬などの皮膚にも出現します。

この疾患では進行性の神経障害(歩行困難・言語障害)、易感染性(肺炎などを繰り返す)、悪性腫瘍(白血病・リンパ腫など)のリスク上昇も特徴的です。放射線に対する感受性が高いため、X線検査や放射線治療の適用に注意が必要です。

🔸 スタージ・ウェーバー症候群

顔面(特に三叉神経第1枝支配域:額・眼の周囲)のポートワイン母斑を皮膚症状とし、同側の脳軟膜に血管奇形を伴う神経皮膚症候群です。てんかん発作、知的発達の遅れ、緑内障(眼圧上昇)などを合併することがあります。生まれつきの顔面の赤紫色のあざがある場合は、眼科・神経内科での精査が勧められます。

💧 皮膚筋炎(小児皮膚筋炎)

筋肉と皮膚に炎症が起きる自己免疫疾患で、成人の皮膚筋炎と異なり、小児では悪性腫瘍を合併することは稀とされています。眼瞼の紫紅色変化(ヘリオトロープ疹)、指関節背面のゴットロン疹、爪周囲の毛細血管拡張、筋力低下(特に近位筋)などが特徴的な症状です。適切な免疫抑制療法による早期治療が予後に影響します。

✨ 全身性エリテマトーデス(小児SLE)

小児SLEは成人SLEよりも臓器障害が重篤なことが多い自己免疫疾患です。顔面の蝶形紅斑(鼻を中心とした蝶の形の赤み)のほか、毛細血管拡張や爪周囲の血管異常が見られることがあります。光線過敏、関節炎、腎障害など多彩な症状を伴うため、複数の症状がある場合は小児リウマチ・膠原病専門医への受診が重要です。

📌 クモ状血管腫(Spider angioma)

中心の赤い点(拡張した細動脈)から放射状に細い血管が広がる、クモの巣状の皮膚変化です。小児でも比較的よく見られる病変で、多くの場合は良性です。ただし、多数のクモ状血管腫が出現した場合は肝疾患(肝硬変・肝炎など)との関連を疑うこともあります。

⚠️ 診断の流れと受診すべき診療科

子供に毛細血管拡張症が疑われる場合の診断の流れと、適切な診療科についてご説明します。

▶️ まずは小児科・皮膚科への受診

最初の受診先としては、小児科または皮膚科が適しています。皮膚に現れた変化が毛細血管拡張症かどうかの診断、さらにその背景にある疾患の可能性を評価するための問診・視診・触診が行われます。

問診では、症状の始まった時期(先天性か後天性か)、家族歴(同様の症状がある家族の有無)、他の症状(鼻血・運動失調・筋力低下など)、使用中の薬(ステロイド外用薬など)について確認されます。視診では皮膚の変化のパターン・分布・色調を評価し、ダーモスコピー(皮膚鏡)を用いて血管のパターンをより詳細に確認することがあります。

🔹 専門診療科への紹介

初診での評価結果に応じて、以下の専門診療科への紹介・連携が行われることがあります。

小児神経科:毛細血管拡張性運動失調症、スタージ・ウェーバー症候群などが疑われる場合。小児リウマチ・膠原病科:皮膚筋炎、SLEなど自己免疫疾患が疑われる場合。遺伝科:HHTなど遺伝性疾患が疑われる場合(遺伝子検査や遺伝カウンセリング)。眼科:スタージ・ウェーバー症候群に伴う緑内障スクリーニングなど。循環器科・血管外科:肺・脳などの動静脈奇形が疑われる場合。

📍 検査の種類

必要に応じて以下の検査が行われます。血液検査(炎症マーカー・自己抗体・肝機能・免疫機能検査)、遺伝子検査(HHT関連遺伝子・ATM遺伝子など)、画像検査(MRI:脳・脊髄の評価。造影CTまたはMRA:肺・肝臓・脳のAVMスクリーニング)、毛細血管鏡検査(爪周囲の毛細血管を拡大観察し、膠原病に特徴的なパターンを評価)、皮膚生検(毛細血管拡張の組織学的評価)。

Q. 子供のポートワイン母斑はどう治療しますか?

子供のポートワイン母斑(先天性毛細血管奇形)には、パルス色素レーザー(PDL)が標準的な治療法として用いられます。早期から治療を開始するほど効果が得られやすく、乳幼児期からの治療が推奨される場合もあります。子供は痛みや恐怖感への配慮が必要なため、全身麻酔や鎮静薬を使用して治療を行うこともあります。

🔍 子供の毛細血管拡張症の治療法

治療方針は毛細血管拡張症の原因や重症度、随伴する疾患の有無によって大きく異なります。

💫 原因疾患の治療を優先する

毛細血管拡張症が全身疾患の一部として現れている場合は、まず原因疾患の治療を行うことが優先されます。例えば皮膚筋炎では免疫抑制療法(ステロイド・免疫抑制剤)、SLEでは疾患活動性に応じた薬物療法が行われます。原因疾患がコントロールされることで、皮膚の血管変化が改善することもあります。

🦠 レーザー治療

毛細血管拡張症に対する最も効果的な治療法のひとつがレーザー治療です。特定の波長の光を拡張した血管に照射することで、血管内のヘモグロビンに吸収させて選択的に血管を破壊します。正常な組織へのダメージを最小限に抑えながら治療できるのが大きな特徴です。

子供のポートワイン母斑に対しては、パルス色素レーザー(PDL)が標準的な治療法として用いられています。ポートワイン母斑は早期から治療を開始した方が効果が得られやすいとされており、乳幼児期からのレーザー治療が推奨されることもあります。ただし子供の場合は治療時の痛みや恐怖感への対応が必要であり、全身麻酔や鎮静薬を用いることもあります。

クモ状血管腫や本態性の毛細血管拡張症に対してもレーザー治療は有効ですが、子供の場合は皮膚が薄く繊細なため、出力設定や照射パラメータを成人よりも慎重に調整する必要があります。治療には複数回のセッションが必要になることが多いです。

👴 硬化療法

拡張した血管内に硬化剤(血管を閉塞させる薬剤)を注入して血管を閉じる治療法です。比較的大きな血管奇形や血管腫に対して行われることがありますが、小児への適用は慎重に検討されます。

🔸 外科的治療・塞栓術

HHTに伴う肺や脳の動静脈奇形(AVM)に対しては、コイル塞栓術や外科的切除が行われることがあります。これらは皮膚の毛細血管拡張症そのものの治療ではなく、生命に関わる合併症を予防するための治療です。

💧 薬物療法(HHTへの対応)

HHTによる繰り返す鼻血に対しては、局所的な止血処置(電気凝固・レーザー凝固)や、抗血管新生薬(ベバシズマブなど)が試みられることがあります。ただし小児への抗血管新生薬の使用は研究段階にある部分も多く、専門施設での判断が必要です。

✨ ステロイドによる毛細血管拡張の対処

ステロイド外用薬の長期使用による毛細血管拡張は、薬剤の中止(ただし急激な中止は危険なため漸減が必要)によって改善が期待できる場合があります。皮膚の薄い部位(顔・頸部・腋窩・鼠径部など)へのステロイド外用薬の使用は特に注意が必要です。タクロリムスなどの非ステロイド系の外用薬への切り替えを検討することもあります。

📝 日常生活での注意点とスキンケア

毛細血管拡張症のある子供の日常生活における注意点と、保護者ができるスキンケアについて説明します。

📌 紫外線対策

紫外線は皮膚の毛細血管拡張を悪化させる要因のひとつです。外出時には日焼け止め(SPF30以上、PA++以上が目安)を使用し、帽子や長袖で物理的に紫外線を遮断することが大切です。子供用の低刺激・無香料の日焼け止めを選ぶようにしましょう。ただし過剰な日光回避はビタミンD不足につながるため、適切なバランスが重要です。

▶️ 温度変化への配慮

急激な温度変化(急に熱いお風呂に入る、外気との大きな温度差など)は毛細血管の拡張を一時的に強める場合があります。ぬるめのお湯でゆっくり入浴する、急激な寒暖差を避けるといった工夫が症状の変動を和らげることがあります。

🔹 適切な保湿ケア

皮膚のバリア機能が低下していると、外部刺激に対して敏感になり、炎症や血管の拡張が起きやすくなります。刺激の少ない保湿剤を毎日使用して皮膚を健康な状態に保つことは、毛細血管拡張症の予防・悪化防止に役立ちます。特にアトピー性皮膚炎を合併している場合は、適切なスキンケアが一層重要です。

📍 摩擦・刺激を避ける

皮膚を強くこする、刺激の強い洗顔料を使うといった行為は毛細血管に負担をかけます。やわらかいタオルで優しく抑えるように拭く、低刺激性のスキンケア製品を使用するなどの心がけが大切です。

💫 ステロイド外用薬の適切な使用

ステロイド外用薬は適切に使用すれば非常に有用な薬剤ですが、顔や首など皮膚の薄い部位での長期使用は毛細血管拡張を招くリスクがあります。医師の指示に従った適切な部位・量・期間での使用を守ることが重要です。使用中に皮膚が薄くなってきた・赤みが増してきたと感じたら、早めに医師に相談してください。

🦠 心理的サポートの重要性

顔や露出する部位に目立つ皮膚変化があることは、子供の自己肯定感や社会的な対人関係に影響することがあります。特に学齢期以降は外見に関するからかいや偏見に悩むことも少なくありません。保護者として子供の気持ちに寄り添い、必要であれば学校と連携したり、小児心理の専門家に相談したりすることも大切な支援です。症状そのものの治療と同様に、心理的なケアも子供の健全な成長のために重要です。

Q. 子供の毛細血管拡張症で急いで受診すべき症状は?

子供の毛細血管拡張症で、繰り返す鼻血・歩行不安定やふらつきなどの運動失調・階段昇降が困難な筋力低下・長引く発熱や関節痛・顔面片側の広いポートワイン母斑・感染症の繰り返しがある場合は速やかな受診が必要です。これらはHHTや毛細血管拡張性運動失調症、自己免疫疾患など全身疾患のサインである可能性があります。

💡 いつ病院を受診すべきか:見逃せないサイン

毛細血管拡張症のある子供で、以下のような症状が見られた場合は速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

👴 繰り返す鼻血・原因不明の出血

月に何度も繰り返す鼻血、なかなか止まらない出血、消化管出血(黒い便・血便)などがある場合は、HHTなどの出血性疾患の可能性があります。特に家族に同様の症状がある場合は早急な受診が必要です。

🔸 バランスが取れにくい・歩きにくい

眼の結膜(白目)や皮膚に毛細血管拡張が見られ、かつ歩行の不安定さ・ふらつき・言語の不明瞭さなどが伴う場合は、毛細血管拡張性運動失調症(AT)を疑い、小児神経科への受診が必要です。

💧 筋力の低下・筋肉の痛み

毛細血管拡張と同時に、階段の昇降が難しくなった、腕が上がりにくいなどの近位筋力低下が見られる場合は、小児皮膚筋炎などの炎症性筋疾患の可能性があります。速やかに小児科・小児リウマチ科に相談してください。

✨ 発熱・関節痛・全身症状を伴う場合

皮膚の血管変化に加えて、長引く発熱、関節の腫れや痛み、著しい疲労感などがある場合は自己免疫疾患の可能性があります。複数の症状が重なっている場合は特に注意が必要です。

📌 顔の片側に広いあざが生まれつきある

顔面の片側(特に額・眼の周囲)に広いポートワイン母斑がある場合は、スタージ・ウェーバー症候群との関連をチェックするために眼科・小児神経科での精査が推奨されます。てんかん発作や眼圧上昇などの合併症を早期に発見・管理することが重要です。

▶️ 感染症を繰り返す

毛細血管拡張と共に、肺炎などの感染症を繰り返している場合は、毛細血管拡張性運動失調症による免疫不全の可能性があります。免疫グロブリンの低下など免疫機能の評価が必要です。

✨ よくある質問

子供の毛細血管拡張症は大人と原因が違うのですか?

はい、大きく異なります。大人では加齢や紫外線ダメージが主な原因ですが、子供の場合は遺伝性疾患(HHTなど)や先天性の血管奇形、自己免疫疾患、ステロイド外用薬の副作用などが主な原因です。皮膚が白く薄い体質の子供では、正常範囲内でも血管が目立つことがあります。

子供の繰り返す鼻血は毛細血管拡張症と関係がありますか?

関係している可能性があります。月に何度も繰り返す鼻血や、なかなか止まらない出血は、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)のサインである場合があります。特に家族に同様の症状がある場合は、早急に小児科や専門医を受診することをお勧めします。

子供のポートワイン母斑はレーザーで治療できますか?

はい、パルス色素レーザー(PDL)が標準的な治療法として用いられています。早期から治療を開始するほど効果が得られやすく、乳幼児期からの治療が推奨される場合もあります。ただし子供は痛みや恐怖感への配慮が必要なため、全身麻酔や鎮静薬を使用することもあります。

ステロイド外用薬で毛細血管拡張症になることはありますか?

はい、顔や皮膚の薄い部位にステロイド外用薬を長期間使用した場合、副作用として毛細血管拡張が生じることがあります。これを「ステロイド皮膚症」と呼びます。気になる場合は自己判断で薬を中止せず、必ず医師に相談のうえ、段階的に減量・切り替えを検討してください。

子供の毛細血管拡張症は最初にどの診療科に行けばよいですか?

まずは小児科または皮膚科への受診をお勧めします。問診・視診・ダーモスコピーなどで状態を評価したうえで、必要に応じて小児神経科・小児リウマチ科・遺伝科・眼科などの専門診療科へ紹介されます。筋力低下や運動失調など他の症状を伴う場合は、速やかな受診が重要です。

📌 まとめ

子供に毛細血管拡張症が見られる場合、その背景にある原因は多岐にわたります。皮膚が薄く白い体質による生理的な透けやすさから、先天性の血管奇形、遺伝性疾患、自己免疫疾患、ステロイド薬の副作用まで、さまざまな可能性があります。

単なる見た目の問題として見過ごされることもありますが、なかには早期対応が重要な疾患が隠れているケースもあります。特に繰り返す鼻血、運動機能の異常、筋力低下、全身症状などを伴う場合は、毛細血管拡張症が全身的な疾患のサインである可能性を考えて、速やかに医療機関を受診することが大切です。

治療法は原因疾患の治療を優先したうえで、レーザー治療や硬化療法などの皮膚科的アプローチが組み合わされます。子供の皮膚は成人と比べて繊細なため、治療の選択・実施においては小児への対応経験が豊富な専門医のもとで判断することが重要です。

また、症状そのものの治療だけでなく、外見の変化が子供の心理・社会的発達に与える影響にも目を向け、必要な心理的サポートを行うことが子供の全体的な健康と幸福のために欠かせません。赤ら顔・酒さラボでは、皮膚の血管性変化に関するご相談を承っております。気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 毛細血管拡張症の診断・分類・治療方針に関するガイドライン、ステロイド外用薬の副作用としての毛細血管拡張、アトピー性皮膚炎との関連など皮膚科学的な根拠情報として参照
  • 厚生労働省 – 遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)・毛細血管拡張性運動失調症(AT)・スタージ・ウェーバー症候群など、指定難病に関する疾患概要・診断基準・治療方針の根拠情報として参照
  • 日本形成外科学会 – ポートワイン母斑(毛細血管奇形)に対するパルス色素レーザー(PDL)治療を含む血管性病変の外科的・レーザー的治療法に関する情報の根拠として参照

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